鯨肉の流通                 

国内の流通鯨肉

流通量

2007年現在の日本では、
ミンククジラ(約3500トン)とイワシクジラ(約1200トン)、ニタリクジラ(約400トン)が生産され、
全国的な流通の中心となっている。
ナガスクジラ(2006年で約250トン2007年は約70トン)や、ツチクジラ(約400トン)

海外からの輸入は1991年以降途絶えていたが、
2008年にアイスランドから66.6トン、2009年にはノルウェーから5.6トンの輸入が承認されて再開した。

鯨肉の供給源

国内の鯨肉は調査捕鯨のほか、
日本沿岸で小規模に捕獲される「小型沿岸捕鯨」と呼ばれる商業捕鯨の鯨肉が一部地域で流通している。

供給源は主に調査捕鯨の副産物と称する鯨肉で、ツチクジラに関しては小型捕鯨業での漁業捕獲である。
一部は定置網での混獲鯨由来である。

鯨肉の販売卸元

調査捕鯨の鯨肉は、調査捕鯨の実施主体である財団法人日本鯨類研究所が販売卸元です。
販売には、市販用と公益用の区分があるそうです。
市販用が、一般流通の対象で生産量の8割以上です。
従来は、調査捕鯨の実務を委託されている日本共同船舶株式会社を通じ、て販売され、
各都道府県の中央卸売市場での販売などが行われてきました。

2006年からは、鯨肉市場開拓などを目的とした新設会社の合同会社鯨食ラボも加わって、新たな販路が検討されている。
各卸売市場への配分は過去の消費実績などを基に水産庁や有識者による検討で決定され、
その後も公的性格の品として農林水産省総合食料局流通課による指導の下で販売されている。

したがって、なるべく公平かつ廉価に配分されるよう努めるものとされている。
部位ごとに価格決定されて、刺身用などの鮮肉のほか、ベーコンや大和煮缶詰などの加工原料として流通する。
流通過程では遠洋漁業水産物一般と同様、ほとんどは冷凍状態で保存管理されるが、
沿岸調査副産物の一部(100トン弱)は生鮮品としても流通している。

最終的にはスーパーマーケットなどの商店で販売されるほか、
インターネットなどを通じた通信販売を行う小売業者も存在する。
鯨食ラボ社も、インターネット上で直営の通信販売事業を行っている。
千葉県の房総半島の伝統食鯨のたれのように、地域の特産品となり、土産物として販売される例もある。

小型捕鯨業では

伝統的に捕鯨従事者への物支給として鯨肉分配がされる習慣がある。
周辺住民が解体場で骨に残った肉をはぎ取って安価で貰い受ける伝統的な消費形態も、
少なくとも1990年代後半までは千葉県で続いていたとのことでです。

イルカ肉も流通している

岩手県や静岡県、和歌山県などで現在も行われているイルカ漁の産品は地元での消費が多い。
生産量は両漁業をあわせてゴンドウクジラ類300トン強、イルカ類1000トン弱である。
伝統的に静岡からの流通がある山梨県のほか、東京都内のスーパーなどで販売されている。
イシイルカについては九州地方での利用が比較的多い。
イルカ肉を「鯨肉」と表示されてしまう場合もあるため、特にイルカ肉と認識されないで消費されることもあると思われる。
ただし、これは現在ではJAS法上において不適切な表示にあたる。

鯨肉の小売価格は、かつてに比べると非常に高騰している

鯨肉は、それでも高い

調査捕鯨の目的から副産物とされる鯨肉の卸売価格は、
生産量の拡大と需要喚起の観点から近年は低く設定される傾向にあるといわれるが、それでも高い。

2012年11月18日 J-Castニュースの記事

クジラの肉、もっと食べて! 在庫ありすぎ、学校給食にも売り込む。

政府が国策として進める調査捕鯨で捕獲したクジラの鯨肉が、
個人向けの通信販売や居酒屋など外食産業のメニューとして、2013 年にも登場する見通しになった。
学校給食のメニューとしても、本格的に復活する見通しだ。
水産庁所管の財団法人で、調査捕鯨の実施主体「日本鯨類研究所」(鯨研)が、赤字が続く調査捕鯨の収支改善策として、
新たに個人や外食産業のほか、学校給食向けに鯨肉の直接販売を始める方針を表明したからだ。

調査捕鯨の鯨肉は現在、年間の消費量に匹敵する約4000トンの在庫を抱え、
鯨研は累積赤字の解消を求められている。

国内の鯨肉は、居酒屋や学校給食のメニューとしては一般的ではない。
水産庁と鯨研は、鯨肉を個人や居酒屋、学校給食に売り込むことで在庫を減らし、
安定財源を得ることで調査捕鯨を継続する考えだ。
今後、一般向けに鯨肉を売り込むPR活動などが始まるという。

卸もとの鯨研は赤字

水産庁が鯨研に委託する調査捕鯨は、鯨研が調査後に解体した鯨肉を販売し、
翌年の調査経費に充てることになっている。
ところが鯨研の調査捕鯨は、鯨肉の販売不振で2005年度以降、赤字傾向が続いている。
鯨研は鯨肉の販路拡大で3年後の2014年度に2011年度比5%(1億4800万円)の増収を目指すほか、
老朽化した調査船の省エネ化や鯨肉生産の機械化などで10億円のコスト削減も行い、
3か年で3億円の黒字達成を目指す。

鯨肉の歴史

昭和以前

オランダで1832年(天保3年)に刊行されたシーボルト著の「江戸参府紀行」によれば鯨は水揚げされたあと、
鯨肉など食用にされる部分は各々の魚商が買い上げ新鮮なうちに、日本中の港に運ばれたと記述している。

現在の岩手県、静岡県、和歌山県や四国、東北、北陸地方の一部、沖縄県の北部などイルカ漁が伝統的に行われている地方では、
古くからイルカ肉も流通している。

戦前

1934年(昭和9年)には、日本も南極海の捕鯨に参入したが、
当初は沿岸捕鯨で生産される鯨肉価格への悪影響を考慮して製品の持ち帰りを制限したうえ、
日本では冷凍設備が未発達であったことから赤肉はほとんど利用されず廃棄された。
日中戦争が激化すると食糧増産の要請から鯨肉の持ち帰り制限が緩和され、
日本最初の大型冷凍船も導入されるなどしたが、太平洋戦争開始により南極海捕鯨自体が停止に追い込まれた。
他方、沿岸捕鯨による鯨肉供給は戦時中も続いていた。

第二次世界大戦後

第二次世界大戦後の食糧難時代以降になると、流通保存技術の進歩もあって限られた流通圏を越え、
日本中に鯨肉食が広まった。

鯨肉の位置づけ

鯨肉は代用獣肉

鯨カツ、鯨ステーキ、鯨カレーなどの鯨肉料理の大半は、
牛肉や豚肉の入手が困難だった時代に、鯨肉を代用獣肉という位置づけの食材として使ったものである。

鯨肉は安価な代用肉

戦後しばらくは、鯨肉は魚肉練り製品とともに、安価な代用肉の代名詞であり、
日本人の重要なたんぱく質源として食生活の中で重要な位置を占めた。
生産量は大きく伸び1958年には13万8千トン、ピークの1962年には22万6千トンであった。
戦後を生き抜いた人々の間では「鯨肉=代用=安物」といった偏見・嫌悪感もある一方で、
当時へのノスタルジーを惹起する食材でもある。

鯨肉は学校給食では不人気だった

特に鯨の竜田揚げは、戦後の学校給食を代表するメニューとして語られる。
ただし小学生にとっては必ずしも好まれていた肉種ではなく、
1951年に東京都立衛生研究所が行った調査では、
小学生が学校給食で嫌いな肉として挙げたのは豚肉16%、牛肉7%、鯨肉23%で、
鯨肉を嫌いと挙げている小学生が突出して多い。23%の内訳は男子9%、女子14%と女子が多く、
当時の東京都立衛生研究所は「巨大な鯨に関する乙女心の感傷の表現であるかも知れない」と考察している。
  1970年代まで大半の小中学校で一般的だったが一時激減し、1987年の南極海での商業捕鯨中止などでさらに激減した。

学校給食で鯨肉の復活

1987年の商業捕鯨中止などで激減した鯨肉の学校給食が徐々に復活し、
給食を実施している全国の公立小、中学校約2万9600校のうち、2009年度に一度でも鯨肉の給食を出した学校は、
18%に当たる5355校になった。 使われる鯨肉は南極海で捕れたクロミンククジラなどで、 メニューは竜田揚げが目立ち、カツやケチャップなどでつくるオーロラソースあえなどがある。
背景には、調査捕鯨で捕獲した在庫がだぶつき、消費拡大のため給食用に割安で提供されていることや、
食文化の継承の為があるされる。

低脂肪の赤身鯨肉は食餌療法に有効な食品

鯨食ラボ社では、配食産業や病院食などでの利用を検討している。
病院食としてみた場合、低脂肪の赤身肉などは食餌療法に有効な食品ではないかと言われる。
他の獣肉への食物アレルギーと重複しにくい利点もある。

ワシントン条約

調査捕鯨の鯨肉は商業目的ではないので違反しない

絶滅の恐れがあるとされる一部の種類については
ワシントン条約によって国際的な商業取引や海からの持ち込みが禁止されている。
日本でも絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律が該当する。
しかし、日本は、ミンククジラなどについては条約に留保を行っていて、
禁止条項の適用を受けないほか、調査捕鯨の鯨肉は商業目的でないので違反しないとしている。

先住民生存捕鯨枠

現在でも近代的な捕鯨を継続しているノルウェーやアイスランドのほか、
先住民生存捕鯨枠などによって捕鯨を認められている先住民らは、それぞれ鯨肉を消費している。
インドネシアのレンバタ島では、捕鯨漁民と農民の物々交換による伝統的な流通が行われている。

韓国

韓国では、積極的な捕鯨は禁止する一方で、定置網などで混獲されたクジラや座礁鯨の鯨肉は、流通が許可されている。
蔚山、釜山、浦項、ソウルなどに合わせて100店余りの鯨肉料理専門店がある。
韓国の国内流通量は年間400頭とされるが、合法的な混獲・座礁鯨は200頭のみで、
残りは密猟されたクジラ類であると見られている。

米国国

世界には鯨肉の取引や消費を禁止している国があり、
牛肉生産大国の米国では1972年制定の海洋哺乳類保護法によって鯨肉の販売が禁止されている。

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