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本文へジャンプ 2009年6月15日更新 

 

中 国 仏 教 入 門

阿 弥 陀 経
阿 弥 陀 経
  
如是我聞 一時佛在舍衛國祇樹給孤獨園 與大比丘僧千二百五十人倶

このように、わたくし(阿難)は聞いた、――
ある時、仏は、舎衛国(しゃえいこく、大国名)の
祇樹給孤獨園(ぎじゅぎっこどくおん、寺院名)に居られて、
大比丘僧(びくそう、出家信者)も、
千二百五十人が一緒であった。

皆是大阿羅漢 ?所知識 長老舍利弗 摩訶目乾連 摩訶迦葉 摩訶迦栴延 摩訶拘?羅 離婆多 周梨槃陀迦 難陀 阿難陀 羅[目*侯]羅 ?梵波提 賓頭盧頗羅墮 迦留陀夷 摩訶劫賓那 薄?羅 阿[少/兔]樓? 如是等諸大弟子 并諸菩薩摩訶薩 文殊師利法王子 阿逸多菩薩 乾陀訶提菩薩 常精進菩薩 與如是等諸大菩薩 及釋提桓因等 無量諸天大??

この方たちは、皆、阿羅漢(あらかん、覚りを得た聖者)であり、衆(しゅ、大勢)に、知られた方々であった
長老の舎利弗(しゃりほつ、十大弟子の中の智慧第一)、
摩訶目乾連(まかもっけんれん、十大弟子の中の神通第一)、
摩訶迦葉(まかかしょう、仏の後継者、十大弟子の中の頭陀(づだ、乞食行)第一)、
摩訶迦栴延(まかかせんねん、十大弟子の中の論議第一)、
摩訶拘?羅(まかくちら、十大弟子の中の問答第一)、離婆多(りばた、坐禅第一)、
周梨槃陀迦(しゅりはんだか、愚鈍ながら覚りを開く)、
難陀(なんだ、美男の難陀、誘惑に負けなかったので諸根調伏第一といわれる)、
阿難陀(あなんだ、仏の侍従、十大弟子の中の多聞第一)、
羅[目*侯]羅(らごら、仏の実子、十大弟子の中の密行(みつぎょう、人に知られない修行)第一)、
?梵波提(きょうぼんはだい、十大弟子の中の持律第一)、
賓頭廬頗羅堕(びんずるはらだ、神通を弄んだため、仏に涅槃を許されず、仏滅後も衆生の救済に当る)、
迦留陀夷(かるだい、しばしば問題を起して仏に呵責された、六群比丘の一)、
摩訶劫賓那(まかこうひんな、能知星宿第一)、
薄倶羅(はくら、道を学んで以来八十年の間無病という)、
阿[少/兔]楼駄(あぬるだ、十大弟子の中の天眼第一)、
このような、諸の大弟子と並んで、
諸の菩薩摩訶薩(ぼさつまかさつ、大菩薩)の文殊尸利(もんじゅしり)
法王子(ほうおうじ、仏の法を嗣ぐ王子)、
阿逸多(あいった、弥勒、仏の次ぎにこの娑婆世界で仏と成る)
菩薩、乾陀訶提(けんだかだい)菩薩、常精進(じょうしょうじん)菩薩、
このような、諸の大菩薩、および釈提桓因(しゃくだいかんいん、帝釈天)等の諸の天の大衆が一緒であった。

爾時佛告長老舍利弗 從是西方過十萬億佛土 有世界名曰極樂

その時、仏は、長老の舎利弗(しゃりほつ)に教えられた、――
これより、西の方に、十万億の仏土(ぶつど、理想の仏国土)を過ぎると、世界が、有り、名を、極楽という。
舎利弗(しゃりほつ):釈迦十大弟子の中の智慧第一。 
神通第一の目揵連と共に、もと婆羅門種の外道であったが、
外道の教えに飽きたらず、釈迦の説法を聞いて弟子となり、間もなく頭角を顕して、智慧第一と称されるようになった。 さまざまな大乗の経典は舎利弗のために説かれた。 
釈迦の実子の羅[目*侯]羅(らごら)は幼い時より、この舎利弗に預けられて教育された。

其土有佛號阿彌陀 今現在?法

その仏土には、仏が、有って、阿弥陀(あみだ、無量)といい、今現に、そこで法を説いている。
舍利弗。彼土何故名為極樂。其國?生無有?苦。但受諸樂故名極樂
舎利弗、彼の土を、何故(なぜ)、極楽というのか。
その国の衆生には、衆(もろもろ)の苦が、無く、
ただ、諸(もろもろ)の楽を、受けるのみであるが故に、極楽というのである。

又舍利弗 極樂國土 七重欄楯七重羅網七重行樹 皆是四寶周匝圍繞 是故彼國名曰極樂

また舎利弗、極楽の国土の、七重の欄楯(らんじゅん、欄干)、
七重の羅網(らもう、天空を覆う真珠の網)、
七重の行樹(ぎょうじゅ、並木)は、皆、四宝(しほう、金、銀、琉璃(るり、青い宝石)、頗梨(はり、水晶))が、         周匝(しゅうそう、取り巻く)して、囲遶(いにょう、囲み巡る)する。
この故に、彼の国を、極楽というのである。

又舍利弗 極樂國土有七寶池 八功德水充滿其中 池底純以金沙布地 四邊階道 金銀琉璃頗梨合成上有樓閣 亦以金銀琉璃頗梨車?赤珠馬瑙而嚴飾之 池中蓮花大如車輪 青色青光 ?色?光 赤色赤光 白色白光微妙香潔 舍利弗 極樂國土成就如是功德莊嚴

また舎利弗、極楽の国土には、
七宝(しっぽう、金、銀、琉璃、頗梨、車?(しゃこ、シャコ貝)、赤珠(しゃくしゅ、赤い真珠)、瑪瑙)の池が有り、
八功徳(はっくどく、浄澄、清冷、甘美、軽軟、潤沢、安和飲時除飢渇等無量過患、
飲已定能長養諸根四大増大)の水が、その中に充満する、
池底には、純(もっぱ)ら、金沙(こんしゃ、金の砂)が、地に布かれ、
池の四辺の階道(かいどう、四角い池を取り囲む階段状の道)は、
金、銀、琉璃、頗梨が、合わせ成している、
池の上の楼閣は、また金、銀、琉璃、頗梨、車?、赤珠、瑪瑙が、これを厳かに飾っている、
池の中の蓮華は、大きさが、車輪のようであり、青い色は、青く光り、黄色は、黄色く光り、
赤い色は、赤く光り、白い色は、白く光り、微妙な香りは、汚れが無い。
舎利弗、極楽の国土は、このような功徳(くどく、人を利する力)の荘厳(しょうごん、
厳かな飾り)を、成就している。

又舍利弗 彼佛國土常作天樂 ?金為地 晝夜六時天雨曼陀羅華 其國?生常以清旦各以衣[袖-由+戒]盛?妙華 供養他方十萬億佛 即以食時還到本國 飯食經行 舍利弗 極樂國土成就如是功德莊嚴

また舎利弗、彼の国土は、常に、天の楽(がく、音楽)を作(な)し、
黄金が、地を為(な)し、昼夜六時(ろくじ、六遍)に、
天は、曼陀羅華(まんだらけ、天の花の一つ)を雨のように降らす。
その国の衆生は、常に、清らかな夜明けを待って、肩掛けに、多くの美しい華を盛って、
他方の十万億の仏を、供養し、食時(じきじ、食事時、正午)には還って、
本国に到り、食を飯(くら)い、経行(きょうぎょう、坐禅と交互にする歩く禅)する。
舎利弗、極楽の国土は、このような功徳の荘厳を、成就している。

復次舍利弗 彼國常有種種奇妙雜色之鳥 白鵠孔雀鸚鵡舍利迦陵頻伽共命之鳥 是諸?鳥 晝夜六時出和雅音 其音演暢五根五力七菩提分八聖道分如是等法 其土?生聞是音已 皆悉念佛念法念僧

また次ぎに、舎利弗、彼の国には、常に、奇妙(きみょう、珍しく美しい)で、
雑色(ざっしき、種種の色が雑じる)の鳥が有る。
白鵠(びゃっこう、白鶴)、孔雀、鸚鵡、舎利(しゃり、鳥の名)、
迦陵頻伽(かりょうびんが、声の好い天の鳥)、共命の鳥(ぐみょうのとり、両首一身の天の鳥)、
これ等の、諸の鳥は、昼夜六時に、和雅(わげ、穏やかで上品な音楽)の音を出し、
その音は、五根(ごこん、修行に必要な根本的能力)、
五力(ごりき、根本的能力による具体的な力)、七菩提分(しちぼだいぶん、覚りに至る智慧)、
八聖道分(はっしょうどうぶん、覚りの智慧による正しい行い)、このような法を、
演説して、その声はどこまでも行き渡る。
その国土の衆生は、この音を聞いて、皆、悉く、仏(ほとけ、仏の功徳)を念い、
法(ほう、持戒して身を護ること)を念い、僧(そう、仏法の和合存続)を念うのである。

舍利弗 汝勿謂此鳥實是罪報所生 所以者何 彼佛國土無三惡趣

舎利弗、お前は、『この鳥は、実に、罪の報いを受けて生まれた』と、思ってはならない。
何故ならば、彼の仏の国土には、三悪趣(さんあくしゅ、地獄、餓鬼、畜生)が無いからである。

舍利弗 其佛國土尚無三惡道之名 何況有實

舎利弗、その仏の国土には、三悪道は、その名さえ無く、その実などは、有りえない。

是諸?鳥 皆是阿彌陀佛 欲令法音宣流變化所作

この諸の鳥たちは、
皆、阿弥陀仏が、法の音を、宣流(せんる、宣伝流布)しようと欲し、変化して、作ったのである。

舍利弗 彼佛國土 微風吹動諸寶行樹及寶羅網出微妙音 譬如百千種樂同時?作 聞是音者皆自然生念佛念法念僧之心 舍利弗 其佛國土成就如是功德莊嚴

舎利弗、彼の仏の国土には、微かに風が吹いて、諸の宝の行樹、および宝の羅網を動かし、
宝の触れ合う、微妙の音を出す、譬えば、百千種の音楽を、同時に一緒に作すようであり、
この音を聞けば、
皆、仏を念い、法を念い、僧を念う心が、自然に、生まれるのである。
舎利弗、その仏の国土は、このような功徳の荘厳を、成就している。

舍利弗 於汝意云何 彼佛何故號阿彌陀

舎利弗、お前は、どう思うか?彼の仏は、何故 阿弥陀(あみだ、無量)といわれるのだろうか?

舍利弗 彼佛光明無量 照十方國無所障礙 是故號為阿彌陀

舎利弗、彼の仏の光明は、無量であり、十方の国を照らして、障碍(しょうげ、邪魔)されることが無い。
この故に、阿弥陀というのである。

又舍利弗 彼佛壽命 及其人民無量無邊阿僧祇劫 故名阿彌陀

また舎利弗、彼の仏の寿命、および その人民の寿命は、
無量無辺阿僧祇(あそうぎ、無数)劫(こう、無限の時間)であり、この故に、阿弥陀というのである。

舍利弗 阿彌陀佛成佛已來於今十劫
舎利弗、阿弥陀仏は、仏と成って以来、すでに今では、十劫になる。

又舍利弗 彼佛有無量無邊聲聞弟子 皆阿羅漢 非是算數之所能知

また舎利弗、彼の仏は、無量無辺の声聞(しょうもん、仏の直弟子)の弟子が有り、
皆、阿羅漢(あらかん、覚りを開いた聖者)であって、その数は、数えて知ることができない。

諸菩薩亦復如是

諸の菩薩も、また同じである。

舍利弗 彼佛國土成就如是功德莊嚴

舎利弗、彼の仏の国土は、このような功徳の荘厳を、成就している。

又舍利弗 極樂國土?生生者皆是阿?跋致

また舎利弗、極楽の衆生は、生まれた時には、皆 阿?跋致(あびばっち、不退の菩薩)である。

其中多有一生補處 其數甚多 非是算數所能知之 但可以無量無邊阿僧祇劫?

その中には、多くの一生補処(いっしょうふしょ、次の生で仏と作る菩薩)が有るが、
その数を、数えて知ることはできない、ただ、無量無辺阿僧祇劫、説くことによってのみ可能である。

舍利弗 ?生聞者 應當發願願生彼國 所以者何 得與如是諸上善人?會一處

舎利弗、衆生が、これを聞いたならば、必ず、願を発して、彼の国に、生まれようと願わなければならない。 
何故ならば、このような、諸の上善(じょうぜん、阿?跋致、もしくは一生補処)の人と、倶(とも)に、
一処に会うことができるからである。

舍利弗 不可以少善根福德因?得生彼國

舎利弗、少しばかりの善根(ぜんこん、善行)の福徳(ふくとく、善行で得た福)の因縁で、
彼の国に生まれることはできない。

舍利弗 若有善男子善女人 聞?阿彌陀佛 執持名號 若一日 若二日 若三日 若四日 若五日 若六日若七日 一心不亂 其人臨命終時 阿彌陀佛與諸聖? 現在其前 是人終時心不顛倒 即得往生阿彌陀佛極樂國土

舎利弗、もし、ある善男子(ぜんなんし、男子)善女人(ぜんにょにん、女子)が、阿弥陀仏を説くのを、聞いて、
阿弥陀仏の名号を、執持(しゅうじ、忘れずにしっかり持つ)して、
若しは一日、若しは二日、若しは三日、若しは四日、若しは五日、若しは六日、若しは七日の間、
一心不乱であれば、この人の命が終る時に、阿弥陀仏は、
諸の聖衆(しょうじゅ、声聞と菩薩)と共に、その人の前に、現れて、
この人は、命の終る時にも、心が顛倒(てんどう、邪念を起す)せず、
じきに阿弥陀仏の極楽国土に、往生することができる。

舍利弗 我見是利故?此言 若有?生聞是?者 應當發願生彼國土

舎利弗、わたしは、この利を見るが故に、こう説くのである、
『もし、ある衆生が、この説を聞いたならば、必ず、願を発して、彼の国に生まれよ。』と。

舍利弗 如我今者讚歎阿彌陀佛不可思議功德 東方亦有阿[門@(人/(人*人))]?佛 須彌相佛 大須彌佛
 須彌光佛 妙音佛 如是等恒河沙數諸佛 各於其國出廣長舌相 遍覆三千大千世界?誠實言 汝等?生當信是稱讚不可思議功德一切諸佛所護念經


舎利弗、わたしが、今、阿弥陀仏の不可思議の功徳を、讃歎しているように、
東方でも、また阿??(あしゅくび)仏、須弥相(しゅみそう)仏、
大須弥(だいしゅみ)仏、須弥光(しゅみこう)仏、妙音(みょうおん)仏、
このような恒河沙(ごうがしゃ、ガンジス河の川底の砂)の数ほどの諸仏が、
各、その国に於いて、広長の舌相(ぜっそう、舌)を出して、三千大千世界を遍く覆い、
誠実な言葉を説いている、『お前たち、衆生は、必ず、この不可思議の功徳を称讃し、
一切の諸仏に護念される経を信じなければならない。』と。

舍利弗 南方世界有日月燈佛 名聞光佛 大?肩佛 須彌燈佛 無量精進佛 如是等恒河沙數諸佛 各於其國出廣長舌相 遍覆三千大千世界?誠實言 汝等?生當信是稱讚不可思議功德一切諸佛所護念經

舎利弗、南方の世界にも、日月灯(にちがつとう)仏、名聞光(みょうもんこう)仏、
大焔肩(だいえんけん)仏、須弥灯(しゅみとう)仏、無量精進(むりょうしょうじん)仏、
このような恒河沙の数ほどの諸仏が、
各、その国に於いて、広長の舌相を出して、三千大千世界を遍く覆い、誠実な言葉を説いている、
『お前たち、 衆生は、必ず、この不可思議の功徳を称讃し、
一切の諸仏に護念される経を信じなければならない。』と。

舍利弗 西方世界有無量壽佛 無量相佛 無量幢佛 大光佛 大明佛 寶相佛 淨光佛 如是等恒河沙數諸佛 各於其國出廣長舌相 遍覆三千大千世界?誠實言 汝等?生 當信是稱讚不可思議功德一切諸佛所護念經

舎利弗、西方の世界にも、無量寿(むりょうじゅ)仏、無量相(むりょうそう)仏、
無量幢(むりょうどう)仏、大光(だいこう)仏、大明(だいみょう)仏、宝相(ほうそう)仏、
浄光(じょうこう)仏、このような恒河沙の数ほどの諸仏が、各、その国に於いて、
広長の舌相を出して、三千大千世界を遍く覆い、誠実な言葉を説いている、
『お前たち、衆生は、必ず、この不可思議の功徳を称讃し、
一切の諸仏に護念される経を信じなければならない。』と。

舍利弗 北方世界有?肩佛 最勝音佛 難沮佛 日生佛 網明佛 如是等恒河沙數諸佛 各於其國出廣長舌相遍覆三千大千世界?誠實言 汝等?生 當信是稱讚不可思議功德一切諸佛所護念經

舎利弗、北方の世界にも、焔肩(えんけん)仏、最勝音(さいしょうおん)仏、
難沮(なんそ)仏、日生(にっしょう)仏、網明(もうみょう)仏、このような恒河沙の数ほどの諸仏が、
各、その国に於いて、広長の舌相を出して、三千大千世界を遍く覆い、誠実な言葉を説いている、
『お前たち、衆生は、必ず、この不可思議の功徳を称讃し、
一切の諸仏に護念される経を信じなければならない。』と。

舍利弗 下方世界有師子佛 名聞佛 名光佛 達摩佛 法幢佛 持法佛 如是等恒河沙數諸佛 各於其國出廣長舌相 遍覆三千大千世界?誠實言 汝等?生 當信是稱讚不可思議功德一切諸佛所護念經

舎利弗、下方の世界にも、師子(しし)仏、名聞(みょうもん)仏、名光(みょうこう)仏、達摩(だつま)仏、
法幢(ほうどう)仏、持法(じほう)仏、このような恒河沙の数ほどの諸仏が、各、その国に於いて、
広長の舌相を出して、三千大千世界を遍く覆い、誠実な言葉を説いている、
『お前たち、衆生は、必ず、この不可思議の功徳を称讃し、
一切の諸仏に護念される経を信じなければならない。』と。

舍利弗 上方世界有梵音佛 宿王佛 香上佛 香光佛 大?肩佛 雜色寶華嚴身佛 娑羅樹王佛 寶華德佛 見一切義佛 如須彌山佛 如是等恒河沙數諸佛 各於其國 出廣長舌相 遍覆三千大千世界?誠實言 汝等?生 當信是稱讚不可思議功德一切諸佛所護念經

舎利弗、上方の世界にも、梵音(ぼんのん)仏、宿王(しゅくおう)仏、香上(こうじょう)仏、
香光(こうこう)仏、大焔肩(だいえんけん)仏、雑色宝華厳身(ざっしきほうけごんしん)仏、
娑羅樹王(しゃらじゅおう)仏、宝華徳(ほうけとく)仏、見一切義(けんいっさいぎ)仏、
如須弥山(にょしゅみせん)仏、このような恒河沙の数ほどの諸仏が、各、その国に於いて、
広長の舌相を出して、三千大千世界を遍く覆い、誠実な言葉を説いている、
『お前たち、衆生は、必ず、この不可思議の功徳を称讃し、
一切の諸仏に護念される経を信じなければならない。』と。

舍利弗 於汝意云何 何故名為一切諸佛所護念經

舎利弗、お前は、どう思うか?何故、この経を、一切の諸仏に護念される経というのだろうか?

舍利弗 若有善男子善女人 聞是經受持者 及聞諸佛名者 是諸善男子善女人 皆為一切諸佛共所護念 皆得不退轉於阿耨多羅三藐三菩提 是故舍利弗 汝等皆當信受我語及諸佛所?

舎利弗、もし、善男子善女人が、この経を聞いて、受持するならば、
ただ諸仏の名を、聞くのみの者でさえ、この諸の善男子善女人は、皆、一切の諸仏に共に護念され、
皆、阿耨多羅三藐三菩提(あのくたらさんみゃくさんぼだい、仏と成ること)を目指して、
退転せずにいられるのである。
この故に、舎利弗、お前たちは、皆、必ず、わたしの言葉、および諸仏の所説を、信じて受け入れよ。

舍利弗 若有人已發願 今發願 當發願 欲生阿彌陀佛國者 是諸人等 皆得不退轉於阿耨多羅三藐三菩提 於彼國土若已生 若今生 若當生 是故舍利弗 諸善男子善女人 若有信者 應當發願生彼國土

舎利弗、もし、ある人が、すでに、願を発し、今、願を発し、
これから、願を発して、阿弥陀仏の国に生まれたいと欲するならば、この諸の人たちは、皆、
阿耨多羅三藐三菩提を目指して、退転せず、彼の国に、若しは、已に生まれ、
若しは、今生まれ、若しは、これから生まれることができる。
この故に、舎利弗、諸の善男子善女人は、しくは、信じる者は、必ず、願を発して、彼の国に生まれよ。

舍利弗 如我今者稱讚諸佛不可思議功德 彼諸佛等 亦稱?我不可思議功德 而作是言 釋迦牟尼佛能為甚難希有之事 能於娑婆國土五濁惡世 劫濁 見濁 煩惱濁 ?生濁 命濁中 得阿耨多羅三藐三菩提 為諸?生 ?是一切世間難信之法

舎利弗、わたしが、今、諸仏の不可思議の功徳を称讃したように、彼の諸仏たちも、
また私の不可思議な功徳を称讃して、こう言う、『釈迦牟尼仏は、よく、甚だ為し難く希有の事を為しとげた、
よく、娑婆の国土の五濁(ごじょく、悪世を表す五つの世の汚れ)の悪世、
劫濁(こうじょく、戦争天災による世の汚れ)、見濁(けんじょく、邪見による世の汚れ)、
煩悩濁(ぼんのうじょく、悪徳がはびこる世の汚れ)、衆生濁(しゅじょうじょく、人の質が弱劣化する世の汚れ)、命濁(みょうじょく、人の寿命が短くなる世の汚れ)の中で、
阿耨多羅三藐三菩提を得て、諸の衆生の為に、この一切の世間の信じ難い法を説いた。』と。

舍利弗當知 我於五濁惡世 行此難事 得阿耨多羅三藐三菩提 為一切世間 ?此難信之法 是為甚難

舎利弗、必ず、知らなくてはならない。わたしは、五濁の悪世に於いて、この為し難い事を行ったのである、
阿耨多羅三藐三菩提を得て、一切の世間の為に、この信じ難い法を説いた。これは、甚だ為し難いことである。

佛?此經已 舍利弗及諸比丘 一切世間天人阿修羅等 聞佛所?歡喜信受 作禮而去

仏が、この経を説きおえられると、舎利弗、および諸の比丘たち、一切の世間の天人、阿修羅たちは、
仏の所説を聞いて、歓喜し、信じ受け入れて、礼を、作して去る